なんでも天才的に上手い人というのは、自然とインナーマッスルを使っている人です。ヒトは、動作に応じてインナーマッスルとアウターマッスルのバランスをとって動いています。インナーマッスルは、動作に先行して作動し、姿勢や関節を安定させる超重要な筋肉ですが、現代人はその機能が落ちてアウターに頼りがちです。呼吸・整体の身体調整法は、インナーマッスルに効くことで、動きと身体を文字通り深いところから変えるのです。
まず、インナーマッスルとアウターマッスルの解説から始めましょう。インナーマッスルは、身体の深いところで関節を繋ぎ、姿勢を安定させ、小さな筋肉だけど細やかに動きます。外側にあるアウターマッスルは、大きな力を発揮しますが細かい動きは苦手です。
”体の奥にあるインナーマッスルは、赤筋ともよばれ、収縮速度が遅いため遅筋ともいう。さらに、体の中心部にあることから深層筋とよばれる。持久力に富み疲労しにくい性質をもつ。小さな筋肉で、体の回転や関節の動きにあわせて背骨や関節の位置を微調整するように働いている。”
”体の外側の体表近くにある筋肉をアウターマッスルとよび、白筋ともいう。この筋肉は筋収縮を長時間持続することはむずかしく疲労しやすいが、収縮速度が速いため速筋ともよばれる。敏捷(びんしょう)な動きが必要とされる部位によくみられる主要な筋肉で、負荷を加えることによって鍛えることが可能である。”
コトバンクより抜粋 https://kotobank.jp/word/インナーマッスル-676776
動くときには、まずインナーマッスルが体を保持してから、アウターマッスルがパワーを発揮するという順に活動します。例えば、屈むとき反るとき捻るとき、ボールを投げるとき、蹴るとき、あらゆる動きの前に背骨や内臓のまわりのインナーマッスルが働くから、胴体はグニャリとなりません。でも、インナーの働きが遅かったり悪い場合、アウターがガチッと体を固めて動きます。力んだ動きが怪我に、筋肉の過緊張が不調に繋がります。
慢性腰痛患者は健常者に比べて、脊柱起立筋(アウターマッスル)が過剰に活動している、また、多裂筋(インナーマッスル)の活動が遅いという報告があります。インナーの機能不全がアウターの過剰使用、そして腰痛を生じたということです。逆に言うと、インナーマッスルが本来の機能を果たせば、動きすぎて緊張しているアウターを緩ませられます。
だから、インナーマッスルを使えるようにしましょう、ということですが、ここで難しいのは、普通に動くとアウターが活動してしまい、インナーに作用しないことです。負荷をかけ力を入れて動く通常の筋トレではアウターマッスルしか鍛えられません。アウターは力任せで動かせるけど、インナーを使うにはコツが必要で、呼吸・整体の身体調整法にそのコツがつまっています。
例えば、トータルコンディショニングは腸腰筋への刺激、脊椎調整は脊椎の分節的な動き、腹部疎通法はお腹を開ける(腹筋群)、横隔膜の解放、臀部のスイッチスクワットは梨状筋の刺激、など、インナーマッスルにピンポイントで効かせています。
インナーマッスルを動かせるようになれば、外側の筋肉の緊張を自分で抜くことができます。身体調整の実践→インナーが機能→アウターが緩む、ということ。また、インナーの邪魔をしている外側の緊張がなくなれば、よりインナーマッスルは働きやすくなります。
身体調整を繰り返すとインナーを動かすコツを習得できるので、力まずしなやかで微細に動き、繊細に自分を扱うことができます。アウター主導の力みがなくなれば、自然な動きで日常を過ごすことができます。
身体がその存在を忘れている筋肉(インナーマッスル)を目覚めさせて動かすことで、身体も動きも変える、ということをやっているのが、呼吸・整体の身体調整なのです。
「ギュイーンとスキーを踏めばいいだ」学生の頃に教えてもらったスキー学校のもっちゃんの長嶋茂雄的言葉は、インナーマッスルを使っているから出てきたんだなぁと思います。なぜか擬音が多くなるんです。