「肩を開ける」とは

「肩の力を抜いて」と言われても、それがなかなかできません。ですが、「肩を開ける」という身体調整法をすると、肩だけでなく、全身力むことができなくなります。力んでいると息が止まりやすいから、呼吸にとっても重要です。

力みを取る、力みに気づく、自分の身体感覚に意識が向いてしまう身体調整法「肩を開ける」では、独特な刺激が腕や肘、首にきます。本当に独特で無視できません。その刺激を感じるだけで作用して、目で見てはっきりわかるくらい肩の位置が落ちます。詰まっていた肩関節が開くのです。グループレッスンでは、お互いの変化を見て驚きの声が上がります。

肩が下がったということは、緊張して縮んで上がっていたということ。なのに、その自覚はなく、緩んで片方だけ落ちた肩を見て初めて気づきます。そして、脱力した自分、余計な気負いが抜けた自分を知ることができます。

側弯症がある中学生の女の子にこの調整法をお伝えしたことがあります。刺激を感じて深呼吸をするということを繰り返しただけで、そのまま寝てしまうくらいにホワーンをした表情になりました。脊椎の変形による強張りが緩み、同行されたお母さんが「鍼の治療を受けたときと同じくらい緩んでいる!」と驚かれていました。

力みは日々の生活で作られます。

手や腕を伸ばしたり上げるとき、パソコンで文字を打つとき、スマホを使うとき、肩をひょこっと上げる。大体は無自覚で、いつの間にか肩を詰めた日常が当たり前になってしまう。力んでも、息を止めても気づかない鈍感な自分。自分の精度を上げていくには、力みは邪魔になります。力まず息を止めないことは不調をなくすだけにとどまりません。何かを究めるとき、自分の人生を生きるときに必要です。

私にとって「肩を開ける」は、力みの強制解除です。自分で自分を固めていることに気づき、やめていくファーストステップであり、未だに続くメンテナンスでもあります。

 

*肩を開ける

呼吸・整体で陰性刺激と呼ばれる身体調整法の一つ。椅子に座って行う。手を真横に上げていくことで得られる独特の刺激の作用で、首肩腕が緩む。気持ちがいいとは言えない刺激がかなり感じられ、調整後の脱力感は強力で、どんな人にも作用する。力みを取る、力みに気づく、身体感覚に意識が向く身体調整法。

〈 Ayus 呼吸の教室 〉

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