呼吸・整体の3つのワーク「自然呼吸の回復」とは

自分がどう呼吸しているかを気に留めることって、ほぼほぼありません。呼吸は、歩き方が違うようにに人によって違い、同じ人でもシチュエーションで変わってきます。

「自然呼吸の回復」は、そういった普段の息の様子がわかる呼吸ワークです。ヒトは動くと息が出入りするということをワークで体感します。

例えば、体を前に倒すだけで、 ”勝手に” 息は出ていき、起こせば ”勝手に” 息が戻ってくる。

勝手に息は出入りするのはヒトが持つ身体の仕組みです。そこは大枠では同じですが、細部では微妙に違うというところが面白い。息の出入りのタイミング、スムーズだったりひっかかったり、動きがチグハグしたり、肩の緊張に気づいたり、頭の重みを感じたり。その時々の今をただ観察します。そうすると、呼吸だけじゃなく、自分が落ち着き、調う。いつもは無意識な自分の呼吸や体のことが細かいところまで見えてきます。

自分にも息を止める瞬間があることを、私はこのワークで発見しました。一瞬、息がウッと詰まり、ちょっと苦しい。こんな程度で止まるなら、いつもやっているのではないだろうか。日々の動作をチェックすると、靴下を履く、無理して手を伸ばす、包丁でカボチャを切る、車のドアをバシンと閉める、そんなときに息が止まっていました。えっ?ヨガの呼吸法を日々やっていたのに、日常の呼吸ができていなかった。気づいていなければ何も感じないけど、気づいてしまうと息が止まるのは不快なものです。不快なことはやらなくなります。息が止まりにくくなって、私は圧倒的に疲れにくくなりました。

息が止まる1回1回が積って山となり、体にダメージを与えているので、それがなくなれば、体調、パフォーマンスも上がります。

ある生徒さんは、Vリーグの選手だった現役時代よりコンディションもプレーもがよくなりました。仕事の後の練習で息切れしない。アタックを打つときも、ボールを拾うときも息を止めなくなっただけで全然違う、と。引退して5年後の昨年、現役に復帰しています。

私にとって、「自然呼吸の回復」は、自分も呼吸が止まっていると教えてくれたワークです。それは、息が止まらない自分の可能性、未来があるということ。呼吸の力と身体ってすごい!と、人体の精緻さやそれを感じる自分の解像度を追求する入り口となりました。

息をしている人ならば誰でも、普段、自分がどんなふうに呼吸しているのか知っていいと思います。「自然呼吸の回復」で、自分の呼吸や体に目を向けることは、自分を知ることにつながります。自分の今を知って、未来を作っていくことができるワークです。

 

*自然呼吸の回復

呼吸・整体の根幹となる3大ワークのうちのひとつ。座って前屈、四つ這いになって背骨の運動、仰向けでの膝倒しと両手の上げ下ろしという4種類の動きで呼吸を観察する。その呼吸は動きによって自然に起こっているものであり、息づかいは自分の状態を現す。ワークをすると、呼吸と動きの相関が深まり、自然な呼吸が回復する。

〈 Ayus 呼吸の教室 〉

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